蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

俳句

俳句37 冬ざれにアリア

冬ざれにアリア流れるひともし頃 バッハ「G線上のアリア」 http://youtu.be/thQWqRDZj7E アリア(Aria) とは詠唱と訳され、オペラ、オラトリオ、カンタータなどの大規模で多くの曲を組み合わせて作られている楽曲における、叙情的、旋律的な独唱曲、または類…

俳句36 花はくれなゐ

十二神将婆娑羅と花びら その時が来る前に自らを朱に染めて落ちる花があるという。その色は永遠に変わらない。 日を待たず花くれなゐに落ちる時

俳句35 月光の夜 

飯島晴子の「はんざきの…」から連想の句。こんな世界だろうか。これはまた月光菩薩の夜でもある。 朝顔のつる紫に染まる夜 即是。 ーーーーーーーーーーーーー ピアノソナタ「月光 第1楽章」(ベートーヴェン) http://youtu.be/DrQwwDgQJq4

俳句34 ひむがしの魚

今は昔、空飛ぶ鳥に思ふ人の所在を尋ねる者ありけり。ありやなしやと惑ふ程に小さな魚水面より跳ねて踊りぬ。名おば都たなごとなむいひける。 名にし負ふひむがしの魚氷に上る 嗚呼。

俳句33 イカロスの翼

冬来りなば春遠からじという。しかし、苦難の末にダイダロスの翼に塗り込められたイカロスの夢は、脆くも剥げ落ちてしまう。 イカロスの夢の行方や春うらら 南無。

俳句32 紙飛行機

しかし紙飛行機、空を舞う姿こそが似つかわしい。その想いは胸にあるのだろう。 飛ばざるも紙ヒコーキの空高し 井上陽水「紙飛行機」 http://youtu.be/bVw4BasDJvs

俳句31 しもつかれ

連れに糟糠の妻の資格はある。しかし残念ながら糟糠の妻ではない。終までその資格を持ったままということになるだろう。その責は私にある。 糟糠の妻とはまことしもつかれ しもつかれは栃木県の郷土料理。食べた記憶はない。由緒ある料理らしいのだが、写真…

俳句30 じゃがいもの花

じゃがいもの花 「北海道無料写真素材 DO PHOTO」より http://photo.hokkaido-blog.com/ スター誕生予選会における少女を、阿久悠はじゃがいもの花に喩えた。大人たちの中にいたたったひとりの少女に、小さな素朴で可憐な花を見たのだろう。そこにこの少女に…

俳句29 純情俳句集の健闘を祈って

純情俳句集は32句まで進んだようだ。カテゴリー俳句は、3年近くも経つというのにこれでNo29。片や、まだ一ヶ月も経たぬというのに32句。 物言わぬ地蔵秋にもものを言い と、まあ、こんなところか。例の歌詞冊子と歳時記を手放せず持ち歩いているようですが、…

俳句28 2012年10月

春の暮れなずむ頃です。地蔵堂の前を通ると、 「これこれ、何か忘れてはおらぬか」 と、声がする。辺りを見回しても誰もいない。空耳かと歩き出すと、 「これこれ、何か忘れてはおらぬか」 と、また声がする。 山際にはまだ明るさが残っている。周りもぼんや…

俳句27 飯島晴子

かほどまで咲くこともなき椿かな(飯島晴子) 歳時記を眺めていてふと目に止まったのがこの句だった。飯島晴子。偶然にも前回の「はんざき…」と同じ作者であり、以前にも「夕立」の項で「さつきから夕立の端にゐるらしき」を引用させていただいていた。実は…

俳句26 かまいたち

はんざきの傷くれなゐにひらく夜(飯島晴子) これは確かに女のものだ。情念に満ちている。男にこうした句は作れない。可愛いい顔をして、しおらしい振りをして、しかしその体の奥深くにメラメラと炎を立てている。ブランコを無心にこぐ少女に鷹女の句を重ね…

俳句25 二百億年の花火

ビッグバンによって無から宇宙が誕生してから137億年だという。星や銀河はその2億年後に生まれはじめるが、太陽系はずっと後の91億年の頃で、生命の誕生は99億年、今から38億年も前のことらしい。太陽は今から50億年後には赤色巨星となってその最期を迎える…

俳句24 時ありぬべし

また、この季節がやってきた。泰山木の花開く頃である。私にとっては森昌子様の季節なのである。ということで、早速例の場所へと向かった。参宮橋駅から歩いて数分の国立オリンピック記念青少年総合センター付近。写真をご覧ください。 泰山木の花 清冽の時…

俳句23 銅の山

ウィキペディアによれば、栃木県の足尾銅山は1550年(天文19年)、室町幕府13代将軍足利義輝の頃に発見されたという。鉄砲伝来(1543年)やザビエルの来日(1549年)の頃である。一方、「足尾銅山発見の謎」(池野亮子・随想舎)には、それは1610年(慶長15…

俳句22 陀羅尼

種下ろし善女龍王あとのこと 密教と共に空海がもたらした真言は唱えることで多くの霊験があったという。真言は大日如来に由来する真実を意味する一種の呪文で、陀羅尼とも言われる。 陀羅尼は、本来暗記して繰り返し唱えることで雑念を払い、無念無想の境地…

俳句21 戒律とともに

聖武天皇の時代、天皇、皇族の病平癒のために多くの得度が行われ、多くの僧尼が出現した。そのため経典を読めない僧尼もでてきた。また、税の減免があったため一般にも勝手に出家する者が多く、このため朝廷は、得度した僧尼を正式な僧侶にするための受戒制…

俳句20 水芭蕉

(1)何とはなしになにやら床しすみれ草 (2)何となく何やら床しすみれ草 (3)山路来てなにやらゆかしすみれ草 芭蕉の推敲の過程である。これを見ると俳聖といえども、道端の菫を見て少し思案し、おもむろに口にした句が「山路来てなにやらゆかしすみれ草…

俳句19 行く春と秋

千住といふ所にて舟をあがれば、前途三千里のおもひ胸にふさがりて、幻の巷に離別の涙をそゝぐ。 行く春や鳥啼き魚の目は泪 これを矢立の初めとして、行く道なほ進まず。人々は途中に立ち並びて、後影の見ゆるまではと見送るなるべし。 (中略) 旅の物うさ…

俳句18 鈴ヶ森

以前に、森昌子と左とん平のコント「鈴ヶ森」がYoutubeに流れていた。歌舞伎「浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)」の第五段、白井権八と幡随院長兵衛の出会いの時で、江戸へ向かう途中の鈴ヶ森で、お尋ね者白井権八と雲助たちの立ち回りがあり、…

俳句17 清く貧しく美しく

再び「清貧の思想」、その廿二「庶民に生き続けてきた清貧の思想 清く貧しく美しく」から。著者の母親について書かれた部分を引用。 私の母がふだん口にしていたのは「もったいない」という言葉でした。これは表面上は「物を粗末にするな」ということですが…

俳句16 埋み火

月天心貧しき町を通りけり 与謝蕪村 月が天心(空のまんなか)にかかっているのは、夜が既に遅く更けたのである。人気のない深夜の町を、ひとり足音高く通って行く。町の両側には、家並の低い貧しい家が、暗く戸を閉ざして眠っている。空には中秋の月が冴え…

俳句15 真菰繁れる

歌川広重「川崎六郷渡舟」 歌川広重「庄野白雨」 前回、六郷を渡って川崎に着くや否や、ドラえもん電車に話が及び、当時の川崎については触れることができなかった。歌川広重の東海道五十三次より「川崎六郷渡舟」で当時を偲んでいただきたい。そしてもう一…

俳句14 六郷渡れば

「六郷渡れば川崎の万年屋・・・」ではない、蜂太郎本舗なのだ。従ってよね饅頭はない。俳句なのである。蜂太郎本舗謹製の五七五である。 六郷の流れの記憶花かつみ 日本橋を4時頃に発つと高輪辺りで夜が明ける。そして六郷で多摩川を渡れば川崎である。その川…

俳句13 日本橋

日本橋。上を走るのが首都高速道路 日本国重要文化財のプレート 東京市道路元標 お江戸日本橋七つ立ちと歌われた日本橋は、今はその上に高速道路が重なり空は塞がれている。数年前、日本橋の景観問題について、時の首相と今も同じだが当時の都知事とにこんな…

俳句12 日比谷野外音楽堂

あのころは扉の向こう芥子の花 井上陽水の次にRCサクセションを考えたが、かって日比谷野音でRCサクセションを見たのがいつだったかはっきりしない。71年か72年だろうと思っていたが、色々と調べるうちに73年らしいことが判った。暑い夏の記憶は確かだったか…

俳句11 那須野が原

「芭蕉の里黒羽」(黒羽町教育委員会発行)より 元禄2年3月27日(新暦1689年5月27日)深川を後にして「奥の細道」の旅に出た芭蕉は、4月1日に日光に着き、その後、次の目的地那須の黒羽に向かった。その途中で道に迷い、草を刈る男に尋ねると、 「那須野が原…

俳句10 燕の子

さくらちゃんは元気にいるだろうか。 天に向かって開かれた燕の子の、まだ柔らかい嘴が、生きることの凄まじさを教えてくれる。いのちは必ず死に至る。限られた時間であるからこそ精一杯に生きて欲しい。 限られしいのちと生きよ燕の子

俳句9 泰山木

子は宝泰山木は明日の花 子宝観音と記念樹(赤坂豊川稲荷) 泰山木の花(国立オリンピック記念青少年総合センター付近)

俳句8 夕立

梅雨が明けると本格的な夏となり夕立の季節となる。うだるような夏の午後、急に空が暗くなったかと思うと雷鳴が響き、あっという間に激しい雨になる。夏の午後から夕方にかけて良く見られる現象で、この激しいにわか雨を夕立という。今年に限って言えば、猛…