蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

沈黙(10)

刈屋蘭堂の甥とはいったい誰なのか。『沈黙』を書いているのはいったい誰なのかと、私はふと考えることがあります。そして、乱穂先生と呼ばれる人物が『私』を名乗り書いているのではと思うのです。屋根裏に籠って小説を書く男は、実は小説だけではなく日記…

他21、「坊や大きくならないで」

1969年4月、高野悦子は高石友也の歌う「坊や大きくならないで」のレコードを買った。そしてそれを聴きながら「ベトナムであの歌をうたっている数多くの女達がいるということを、一体どう考えたらよいのか」と日記に書いた。自殺するほぼ2ヶ月前のことである…

沈黙(9)

Point Bonita Lighthouse ポイントボニータ灯台はマリン郡の太平洋岸、ウェストマリン地区にあります。ゴールデンゲートブリッジを渡って左方向に行ったところです。 「ヘイ、ガール。元気かい」 突然、見知らぬ男が声をかけてきました。 二人は気晴らしに太…

沈黙(8)

Mt.Tamalpais 私にはタマルパイス山はこんな風に見えたのです。 「そんなに大きな声を出さなくても聞こえてます」 奥から大柄な黒人女性が現れました。そしてモデルに近寄り、 「おおっ、まさこ。よく来たわね、まさこ」 と言って抱き締めます。大きな胸と…

沈黙(7)

ゴールデンゲートブリッジ 雲のような霧の上に橋柱がわずかに見える。 モデルの降り立った空港はロサンゼルスではなくサンフランシスコだった。従って彼女がサンタモニカへ行くことはなく、別の場所になると思われる。しかしここではサンタモニカに敬意を込…

沈黙(6)

ラフ画(2) 例の持ち出した誰の絵とも分からぬものに手を加えた。相当に薄くなっていたので、まずはBと2Bで濃くすることから始めた。絵の6、7割はデッサンで決まってしまうと思っているから、もうこの絵は出来上がったも同然なのだと、素人の私は泰然とした…