蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

他5、寒椿(森昌子)

人家を離れた小道の傍らに毅然として花を開く寒椿の様が、一幅の絵のように思い浮かびます。 ライブでは感情が勝りがちな彼女がそれを適度に抑え、枯山水の如く見事に昇華した歌唱を見せてくれています。まさに渾身の歌唱と言って良く、このリサイタルの中で…

他4、春の風景(2)

山は新緑に覆われ、風に揺らいで煌いている。山裾に沿って山中に続く小道の脇に李の木が花を開かせ、柿の木には緑が溢れていた。 子供たちのざんざめく声はその辺りから響いて来る。そしてその声はいつしか歌声へと変わっていく。ある子は野花を摘み、別の子…

他3、古都の別れ歌(森昌子)

待つ日は長くても、その時があるから耐えられる。しかしその時はあまりにも短く、早く過ぎてしまう。ふと開けた障子越しに、家並みを越えて幽かに響いて来る汽笛の音にさえ、涙が溢れてしまう。蛍は窓を開けても籠を離れず、じっとして明滅を繰り返えすばか…

他2、光る風

日毎に陽射しが強くなり、なんとなく気分もうきうきしてくる頃です。お父さんの自転車に乗って近くの河原にやって来た少女は、大きな声で歌謡曲を歌っていました。 「ませた子だね」 「お嬢ちゃん、歌が上手だね」 通りすがりの大人たちが少女に声をかけて行…

他1、春の風景

田んぼの蓮華が所々にピンクの花を咲かせ始めた頃のこと。その田んぼとその奥の青々とした森との間に作られた小さな畑の辺りから、子供たちの遊ぶ声が聞こえてくる。しばらくするとそれは歌声に変わっていく。ある者は木に登り、そしてある者はその木を揺す…

旅立ち

元禄2年(1689年)春、芭蕉は「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。」で始まるあの「おくのほそ道」への旅に出ます。その最初の句をここに記し、私のブログの旅立ちとしたいと思います。 草の戸も住み替はる代ぞ雛の家 何が書けるか、長続き…