蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

2012-01-01から1年間の記事一覧

沈黙外伝・断片

「ところで先生、例の表彰の件はどうなったんです」 「うーん。何をモタモタしてるんだアイツは」 「その後、連絡はないのですか」 「とんと、さっぱりだ」 しばし口をへの字に結んで沈黙していた乱穂先生は、うつろな眼差しを遠くに向けたままおもむろに口…

12月でしばらく休みます(2)

整理中のいわゆるまとめの動画2編。ある方の言葉を借りればカットの時までの一炊の夢。 花の色は移ろうのであり、光陰は矢の如くあるのである。月日に関守なく、烏兎匆匆、露往霜来なのでもある。重ねて恐縮だが、盛年重ねて来らずとか白駒の隙を過ぐるが如…

12月でしばらく休みます

「蜂太郎日記」はこの12月で36ヶ月目、丸3年になります。毎月5〜10回を目標にして、1ヶ月も欠かすことなく更新を続けてきたのですが、この12月でその更新を一時休みます。それが1ヶ月なのか2ヶ月になるのか、はたまたは半年なのか1年なのか、今の所は不明…

俳句37 冬ざれにアリア

冬ざれにアリア流れるひともし頃 バッハ「G線上のアリア」 http://youtu.be/thQWqRDZj7E アリア(Aria) とは詠唱と訳され、オペラ、オラトリオ、カンタータなどの大規模で多くの曲を組み合わせて作られている楽曲における、叙情的、旋律的な独唱曲、または類…

俳句36 花はくれなゐ

十二神将婆娑羅と花びら その時が来る前に自らを朱に染めて落ちる花があるという。その色は永遠に変わらない。 日を待たず花くれなゐに落ちる時

俳句35 月光の夜 

飯島晴子の「はんざきの…」から連想の句。こんな世界だろうか。これはまた月光菩薩の夜でもある。 朝顔のつる紫に染まる夜 即是。 ーーーーーーーーーーーーー ピアノソナタ「月光 第1楽章」(ベートーヴェン) http://youtu.be/DrQwwDgQJq4

俳句34 ひむがしの魚

今は昔、空飛ぶ鳥に思ふ人の所在を尋ねる者ありけり。ありやなしやと惑ふ程に小さな魚水面より跳ねて踊りぬ。名おば都たなごとなむいひける。 名にし負ふひむがしの魚氷に上る 嗚呼。

俳句33 イカロスの翼

冬来りなば春遠からじという。しかし、苦難の末にダイダロスの翼に塗り込められたイカロスの夢は、脆くも剥げ落ちてしまう。 イカロスの夢の行方や春うらら 南無。

他27、こんなもの見つけた

「松葉の流れる町」にそれらしい羊羹が出てくるのですが、モデルはこの『小ざさ』。客が早朝から並ぶようになったのは70年に入ってからのことと聞いたことがある。72、3年頃からだろうか。とにかく手に入れるのが大変なんです。 ・吉祥寺「小ざさ」 http://y…

他26、遠藤実生誕80周年記念コンサート

12月6日、およそひと月位後に明治座で遠藤実生誕80周年記念のメモリアルコンサートがある。既にチケットは完売のようだ。残念ながら私は行くことはできないが。 先生のお弟子さん達とも言うべき出演者は、おチヨさんをはじめ、青い目を愛した男やイツキのあ…

俳句32 紙飛行機

しかし紙飛行機、空を舞う姿こそが似つかわしい。その想いは胸にあるのだろう。 飛ばざるも紙ヒコーキの空高し 井上陽水「紙飛行機」 http://youtu.be/bVw4BasDJvs

俳句31 しもつかれ

連れに糟糠の妻の資格はある。しかし残念ながら糟糠の妻ではない。終までその資格を持ったままということになるだろう。その責は私にある。 糟糠の妻とはまことしもつかれ しもつかれは栃木県の郷土料理。食べた記憶はない。由緒ある料理らしいのだが、写真…

Edesu57、無礙なるや

パステル、色鉛筆 以前に描いた絵を額縁に入れてみた。ドール・マコさんの純情俳句なら「汝はかぐや…」の頃だが、地上ではこんな歌が似合う。「無礙な、それ故、ひとしお魂にしみる哀感で」(「伸子」宮本百合子) 無礙なるや月にあるとは無礙なるや 森昌子…

俳句30 じゃがいもの花

じゃがいもの花 「北海道無料写真素材 DO PHOTO」より http://photo.hokkaido-blog.com/ スター誕生予選会における少女を、阿久悠はじゃがいもの花に喩えた。大人たちの中にいたたったひとりの少女に、小さな素朴で可憐な花を見たのだろう。そこにこの少女に…

Edesu56、演歌の女

パステル、色鉛筆 うまく描けなかった絵を塗り直している。100均の12色しかないオイルパステルなので、どうしても原色がきつくなる。しかも我流で、紙面で色を混ぜたり何度も塗り直したりで、色が汚くなる。しかし、依然として「あの頃この頃」(54)はうま…

Edesu55、夢紀行

パステル、色鉛筆 夏、せんせいが街に流れ 夢は飛んだ その道がどこへゆくかも知らず 空をかけた 秋、人の心のあやとりに 後ろを向いた それでも目覚めは さわやかだった 遠く呼ぶ声が懐かしかった この幸せをありがとう この胸の幸せをありがとう 森昌子「…

俳句29 純情俳句集の健闘を祈って

純情俳句集は32句まで進んだようだ。カテゴリー俳句は、3年近くも経つというのにこれでNo29。片や、まだ一ヶ月も経たぬというのに32句。 物言わぬ地蔵秋にもものを言い と、まあ、こんなところか。例の歌詞冊子と歳時記を手放せず持ち歩いているようですが、…

Edesu54、あの頃この頃

パステル・色鉛筆 映画華やかなりし頃、ヤクザ映画を見た客が出てくる格好は、皆健さんだった。しかし少年の私は、多分マイトガイだったと思う。この頃の友蔵さんの俳句ならこんなことだろう。 少年の歩く姿はマイトガイ ということですが、ここはマイトガイ…

俳句28 2012年10月

春の暮れなずむ頃です。地蔵堂の前を通ると、 「これこれ、何か忘れてはおらぬか」 と、声がする。辺りを見回しても誰もいない。空耳かと歩き出すと、 「これこれ、何か忘れてはおらぬか」 と、また声がする。 山際にはまだ明るさが残っている。周りもぼんや…

俳句27 飯島晴子

かほどまで咲くこともなき椿かな(飯島晴子) 歳時記を眺めていてふと目に止まったのがこの句だった。飯島晴子。偶然にも前回の「はんざき…」と同じ作者であり、以前にも「夕立」の項で「さつきから夕立の端にゐるらしき」を引用させていただいていた。実は…

俳句26 かまいたち

はんざきの傷くれなゐにひらく夜(飯島晴子) これは確かに女のものだ。情念に満ちている。男にこうした句は作れない。可愛いい顔をして、しおらしい振りをして、しかしその体の奥深くにメラメラと炎を立てている。ブランコを無心にこぐ少女に鷹女の句を重ね…

他25、三沢あけみとソノシート、そして森昌子

表紙 裏表紙 そろそろ身辺整理は必要だ、とふと思う。周りを見渡せば不要のものが多い。少しずつでも捨てようと思っている時に出てきたこのシート。正式にはなんというのだろう。一般名称か商品名なのかも知らないが、朝日ソノラマが有名で、ソノラマシート…

他3曲16、黒い傷あとのブルース

引き続きマイトガイで。この映画は1961年、小林旭の主演で作られた。脚本は、山崎巌がマーロン・ブランドの初監督作品「片目のジャック」(1961)を元に、当時流行っていた洋楽「黒い傷あとのブルース」を主題歌にして書けと言われて書いたものらしい。主題…

他3曲15、小林旭と遠藤実

「純情いろはがるた」での緊急事態のため、あちこちでの修正を余儀なくされた。主に時代29と30あたりですが、一応の修正を終えた。しかしよくよく考えれば不思議なもので、遠藤実と美空ひばりを両脇にして、森昌子と小林旭は対極にいる。かつてのアキラ・ル…

時代32、森昌子と劇場(9)

8、帝国劇場(3)帝劇への道 有楽町駅前 有楽町ガード下から帝劇方向 帝劇への道を歩きながら私は考えていました。「音を外してもいい、思い切り叫べ。そうすることで周囲の奇怪さを忘れてしまえ。本題を思い出せ」と言ったのは誰だったのだろうと。アルバム「…

時代31、森昌子と劇場(8)

8、帝国劇場(2) 7周年記念帝劇ライブ盤「熱唱ひとり舞台」 「熱唱ひとり舞台」収録曲 Disc1 1.「オープニング〜春の岬」 2.「下町の青い空〜おかあさん」 3.「北風の朝」 作詞:阿久悠 作曲:新井利昌 4.「面影の君」 作詞:阿久悠 作曲:平尾昌晃 5.…

時代30、森昌子と劇場(7)

8、帝国劇場(1) 1978年「7周年記念特別公演」 (写真「ウィキペディア」より) 通 称: 帝劇 所在地: 東京都千代田区丸の内三丁目1番1号 開 館: 1911年3月1日 客 席: 1階1290席・2階688席 用 途: ミュージカル、演劇 設 計: (現在・二代)谷口吉郎、…

人形7、下野乙女と川崎純情小町

マコちゃん人形の世界にのみ存在する幻の銘酒『下野乙女』。南国土佐の秘密は『下野乙女』にあったのかもしれません。同名の二胡とピアノのユニットを紹介します。正しくは「下野音女」のようですが。 下野乙女「希望」 http://youtu.be/TrzocStpdd4 そして…

人形6、フォークダンスと踊りと音楽と

かつて、フォークダンスがあり 音楽と踊りの女神がいた 手に取る掌は潤み 微かに石鹸の香りがした 体育館に軽快なメロディが流れる 午後のことだった 今、変色した記憶は 億光年の彼方に散っていく はぐれ雲は いつの間にか碧空の中に消えている それでも人…

神8、ムーサ・テルプシコラー(2)

鉛筆、ケント紙 「お父様、雷霆は私がお預かりしています。今度、使い方を教えてください」 神の娘にしてまた神。ゼウスの娘テルプシコラーは、そう言って雷霆をおし抱く。 神よ、怒りたもうな。