蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

父の自分史 「生い立ち」(1)

 父の自分史「生い立ち」の昭和4年から昭和16年までを載せ、当時の世相を簡単に探ります。ちなみに、文中の実叔父さんは既に亡くなっておりますが父は健在です。70を過ぎてから突如として書き始めた自分史ですが、文章はひどいものなので直して一部を抜粋します。


ランプのある囲炉裏端



昭和4年(1929年)
 この年、私の村に初めて電灯が点った。私は大正十三年九月二十六日生まれだから、満四才か五歳の筈だった。私の記憶はそのころまでしか遡れない。台所の隅に置いてある石油をランプに移したり、そのランプのホヤを磨いたりするのがそのころの私の仕事だった。弟の実が生まれたのがちょうどこのころで、家の風呂を五衛門風呂に直したのも同じころのことだった。


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昭和4年
東京行進曲(「目録20世紀1929年」講談社


主な出来事
・ラジオ体操 : 2月11日から全国放送開始。(注)
・説教強盗 : 2月23日、東京市で説教強盗妻木松吉が逮捕される。
・ツェペリン号世界一周 : 8月19日、独の飛行船ツェペリン号が、世界一周の途中、霞ヶ浦飛行場に着陸。全長236mの巨大さに人々は圧倒され、「空飛ぶ巨鯨」と人気を集めた。ゴンドラは20人乗り。20日には東京に飛来する。
世界大恐慌 : 10月24日、ニューヨーク証券取引所で株価が大暴落。暗黒の木曜日と呼ばれ、世界恐慌の引き金となる。


流行り言葉や初登場のものなど
緊縮 : 浜口内閣が掲げたスローガン。経済用語が流行語化した最初のもの。
ステッキガール : 銀座で文士たちが伴っていた愛人とも秘書ともつかぬモガ風の女性。本当に実在したかどうかは明らかではない。
全国の皆さーん : ラジオ体操の江木理一アナウンサーの呼びかけ。
その他にも
大学は出たけれど・モダンライフ・ロイドメガネ・エレベーターガール・国産ウイスキーターミナルデパート(阪急百貨店)・さくらフヰルム など

モノ語り29「目録20世紀1929年」


流行り歌やその年のレコード
童謡「鞠と殿さま」
佐藤千夜子「東京行進曲」「愛して頂戴」「黒ゆりの花」
井上起久子「大阪行進曲」
二村定一君恋し」「浪花小唄」
天野喜久代「黒い眸よ今いづこ」
川崎豊、曽我直子「蒲田行進曲」「沓掛小唄」
曽我直子「金のグラス」「明眸禍の唄」
平井英子「茶目子の一日」
宝塚少女歌劇花組「モン巴里」



佐藤千夜子「東京行進曲」
https://youtu.be/gY9u5FPyAis


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注)全国放送は1929年2月11日から実施されたことになっているが、大阪中央放送局や名古屋中央放送局では同時刻に独自の体操番組を放送していたことがあり、江木アナの声が全国放送として定着した時期は1934年以降である。