蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

他32、ペルセポネの帰還


「ペルセポネの帰還」フレデリック・レイトン(1891年)


 今まさに地上に戻ろうとしているところ。地上で待ち構えるのは母でもある大地の女神デメテル。中に立つのは道中の案内役ヘルメス。まだ夢醒めやらないペルセポネはそれでも地上の空気を感じているのでしょうか、つま先立ちしてめいっぱい両手を伸ばしています。地上のデメテルは両手を大きく広げて娘を迎えます。これで草花が芽吹き、花が咲き、穀物の実る季節の到来です。
 一説ではエレウシス神殿奥の洞窟から戻ってくると言われますが、ここがその場所なのでしょうか。ハデスに拐われて冥府の女王となったペルセポネは母の努力で地上に戻ることができるようになったのですが、それは期限つき、あの世とこの世を行き来しなければなりませんでした。あの世では冥府の女王ですが地上では母と同じ大地の女神、豊穣の女神でした。


 実は日本にもペルセポネのようにこの世とあの世を行き来した人物がいました。小野篁です。平安の頃、篁は夜毎井戸を降りて地獄へ行き、閻魔大王の片腕として裁判を手伝ったと『今昔物語』にあります。この井戸は嵯峨の福生寺と東山の六道珍皇寺にあったといわれ、六道珍皇寺の井戸を降りて地獄に向かい福生寺の井戸から地上に戻ったそうです。
 また、有能な官吏でもあった篁にまつわるなぞなぞがあります。
「子子子子子子子子子子子子」
 さあ、何と読むのでしょう。嵯峨天皇に試された篁は見事に答えて天皇の疑いを晴らしたといいます。答えはウィキペディアにもありますので、最後にリンクします。




 この絵は大地を割って現れる豊穣の女神です。格好は「涙の桟橋」のジャケットですが、タイトルを「未完の美あるいは芽生え」としたのは他ならぬ発芽の瞬間であるからで、今回はそれらしいこの歌です。




森昌子「春のめざめ」
http://youtu.be/PrEHsiHMohk


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なぞなぞの答えはこちらにあります。
小野篁 - Wikipedia