蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

他20、歌碑「鳩ポッポ」


 これは浅草寺境内にある童謡「鳩ポッポ」の歌碑です。由来は、東くめが浅草寺境内で鳩と戯れる子供たちの様子を詞に書いたことにあり、昭和37年、東くめ86歳の時に建立されたそうです。東くめの出身地新宮市にもあるそうですが、浅草寺の碑文にはこう書かれています。


 この詩は日本中乃多くの
 人々に親しまれている日本の
 代表的な童謡の一つです
 東くめ女史が明治三十四年
 に観音さまの境内に於て
 鳩とたわむれている子供らの
 愛らしい姿をそのまゝ歌に
 よまれたものであります
 歌碑を建つるにあたりまして
 朝倉文夫先生から鳩並に
 題字を寄せられました事は
 作曲者瀧廉太郎先生と
 同郷旧知の深いゆかりに依る洵に
 うるわしい御協賛でありまた
 鳩は平和の象徴です
 そのためにもこの碑は永久に
 保存いたしたいもので阿ります。
 昭和三十七年十一月三日  浅草寺 恭順識


 また、似たものに唱歌「鳩」がありますが、これは「尋常小学唱歌1年用」として1911年に作られたもので、「尋常小学唱歌」は1911年から1914年にかけ合議制で作られたため作者は特定されません。さらにこの「鳩」は、1941年の国民学校用の教科書「ウタノホン」で曲名が「ハトポッポ」に変更されたらしいのですが、さて、今私たちがよく知る歌は、「鳩」?「ハトポッポ」?はてどちらなのでしょう。さすがに童謡「鳩ポッポ」は私もあまり聴いたことはありませんが。「尋常小学唱歌」については以前に「童謡・抒情歌と森昌子」でも少し触れたことがありますので、参考までにリンクします。


森昌子私論「6−2童謡・抒情歌と森昌子
http://d.hatena.ne.jp/eight5881/20100322/1269255658


では、この2曲です。


1、童謡「鳩ポッポ」(1901年 明治34年
歌:斉藤昌子、作詞:東くめ、作曲:瀧廉太郎

 はとポッポ はとポッポ
 ポッポポッポと とんでこい
 お寺のやねから 下りてこい
 豆をやるから 皆たべよ
 たべてもすぐに かえらずに
 ポッポポッポと 啼いて遊べ


http://youtu.be/U2cFL33pZxQ


2(a)、唱歌「鳩」(1911年 明治44年
歌、作詞、作曲:不詳

 ぽっぽっぽ 鳩ぽっぽ
 豆がほしいか そらやるぞ
 みんなでなかよく 食べに来い
 ぽっぽっぽ 鳩ぽっぽ
 豆はうまいか 食べたなら
 一度にそろって 飛んで行け

2(b)、ウタノホン「ハトポッポ」(1941年 昭和16年

 ぽっぽっぽ はとぽっぽ
 豆がほしいか そらやるぞ
 みんなでいっしょに 食べに来い
 ぽっぽっぽ はとぽっぽ
 豆はうまいか 食べたなら
 みんなでなかよく 遊ぼうよ


http://youtu.be/F_iqJD9NTVo


 歌詞は11年版の「鳩」ですが、画面の歌詞はウタノホンの「ハトポッポ」。私には古い11年版が聴き慣れているのですが、一般的にはどちらなのでしょう。
 浅草と鳩と言えばこの曲を忘れてはいけない。森昌子「浅草の白い鳩」。作詞作曲が誰なのか不勉強にして知らないが、当然、作詞者の念頭には童謡「鳩ポッポ」か、唱歌「鳩」があったろう。


3、森昌子「浅草の白い鳩」(1974年 昭和49年)

 浅草の町で生まれた話なら
 みんな知ってる白い鳩
 仲が良すぎてけんかして
 遠きに離れたあの人は
 今頃どこにいるかしら
 ポッポ ポッポ 白い鳩教えてね


 おみくじになぜか震えた指先を
 そっとみつめる白い鳩
 もしも会えたらこんどこそ
 胸にすがってゆきたくて
 観音様へ待つ私
 ポッポ ポッポ 白い鳩会わせてね


 仲見世のかげに涙を落としたら
 すぐにからかう白い鳩
 意地を張ってはみたけれど
 三社祭で囁いた
 言葉が今日も泣かせるの
 ポッポ ポッポ 白い鳩笑ってね


http://youtu.be/d6HxbLbAc-4
http://youtu.be/9CRMwg9EUyU


 最後に、最近、浅草寺境内からこんなものが見える。スカイツリー。実は、境内に白い鳩を探したのですが見つからず、代わりと言っては何ですが、スカイツリーなのです。さすがに高い。びっくりするほど大きく見える。観音様は伝統的に上から覗かれるのを嫌がっておいでだったが、まあ、距離があるからということか…、それとも時代か…。