蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

手紙13 達彦失踪する(2)

「茂木純一の手紙」
拝啓 新しい年を迎え皆様ご健康でお過ごしのこと思います。私も元気に致しております。学校は始まっているのですが、相変わらず突然の休講や教室の変更等があり、まともな授業が少ない現状です。 昨年はお世話になり有難うございました。今年は少し身を入れて勉強をしなければと思っていたところです。ご忠告有難うございます。
 大田原のことですが、ご存知かと思っていました。彼はインドへ行ってます。11月の下旬に日本を発ってます。期末試験には戻ると言ってましたから、1月下旬か2月上旬には戻ると思います。彼はインドへ行くと言いましたが、私は、目的地はバングラディシュだろうと思っています。勿論確信あるものではありませんし、彼に訊いても答えないでしょうから敢えて訊ねはしませんでしたが、戻って来たら話してくれるだろうと思っています。
 アパートは引き払っています。私に荷物を預かれと言ってきたのですが、実は私は3畳間に住む貧乏学生ですから、彼の荷物を預かる余裕はありませんでした。その時に「中禅に話してみる」と言ってましたから、多分、荷物は中禅君の所にあると思います。もしかしたら中禅君が詳しいことを知っているかもしれません。私は大田原から中禅君の名前を聞くだけで、彼は大学も違いますし、会ったことは有りません。
 大したお役にも立てず申し訳ありません。でも、そんなに心配なさらなくても大丈夫だと思います。私たちは結構、乱暴なことをして来ていますから…。山の中に一人残されても大丈夫ですから…。彼を信じてやってください。水戸のご両親にも心配ないとお伝えください。また何かありましたらお知らせ致します。敬具
1973年1月
茂木純一
野国男様