蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

28、森昌子をカバーする

1、「せんせい」(1972年)
オリジナル歌手:森昌子、作詞:阿久悠、作曲:遠藤実
歌:神園さやか 
http://www.youtube.com/watch?v=YuWy8UNrTA0

 しかし、好感を持てたことは事実で、収録が始まって、歌う順番を待っている姿を見ていると、素朴で、可憐で、花として愛でられる花ではないが、実はそれ以上に愛らしい、薄紫のジャガイモの花を連想したりしていた。それでも、期待はしていなかった。予備知識のあるスタッフはともかく、歌を一度も聴いたことのない審査員の中に、番組の救世主になる少女だと予感したものはいなかったと思う。…彼女は若さと下手さではなく、若さと上手さで合格したのであるが、歌い方ではなく、歌が上手なのであった。

(中略)

 少女が女の情念を歌うと絵空事になる。どうせ13歳の少女だから、何を歌おうと絵空事だろうが、もう少し歌と歌手の年齢の接近したものをと、抒情を考えた。そして、時代の中で、今いちばん欠落し、渇望しているものは何だろうかと考え、それは、縦位置の人間関係の愛情だろうと思い、「せんせい」を書いた。…「せんせい」は、最初、常識的に「先生」という字を使っていたが、これだと、どうしても職業名、教職の人という感じがするので、平仮名で試しに「せんせい」と書いてみた。すると、如何にも少女っぽい抒情が感じられ、淡色の絵空事を思わせて、その時、これは成功するかもしれないと思った。(夢を食った男たち)

引用:「夢を食った男たち〜『スター誕生』と歌謡曲黄金の70年代」阿久悠 (文春文庫) 、注:赤色は蜂太郎による
参考)オリジナル:森昌子
http://youtu.be/RxvYq6dN7lM
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
2、「中学三年生」(1973年)
オリジナル歌手:森昌子、作詞:阿久悠、作曲:遠藤実
歌:山口百恵
http://www.youtube.com/watch?v=TkPBtIJX214

 一見したところでという程度で14歳の山口百恵を見るなら、桜田淳子に似ているところもないではなかった。とにかく相似形の14歳の少女、片や太陽のようにキラキラと光をはね返し、片や月の花のようにやわらかく光を発する二人が加わり、天才少女森昌子の両脇に置いて、花の中三トリオが作られていくのである。(夢を食った男たち)

参考)オリジナル:森昌子
http://youtu.be/060eDQh3hs8
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
3、「夕顔の雨」(1973年)
オリジナル歌手:森昌子、作詞:阿久悠、作曲:遠藤実
歌:石川さゆり
http://www.youtube.com/watch?v=WZEzdbCqywo

 周囲の反対を頑として押しのけた森昌子の決意は固いものがあり、「この娘のどこにこんな強さがあったのか」と思わせての結婚であった。「昌子よ、お前もか」の感なきにしも非ずの私であったが、その健気なまでの決意には降伏せざるをえなかった。…8月24日、歌舞伎座での引退公演も大盛況で終わり、8月31日には、皆に惜しまれつつ芸能界を去った。百恵引退の年から数えて6年目の出来事であった。…その年の暮れ、紅白歌合戦では石川さゆりが「天城越え」でトリをとった。(いつだって青春)

引用:「いつだって青春〜わが人生のホリプロ堀威夫小学館文庫)
参考)オリジナル:森昌子
http://youtu.be/289OZgXqVh8