蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

26、森昌子 心のままに


 天才少女の苦悩や迷いがこの頃の彼女には良く見られ、いわゆる「哀愁の頃」でもあるのだが、その切なくも遣る瀬のない思いに揺れながら歌う様が感じられる3曲である。
 天才であるが故の期待と自らが課したであろう足枷とに負担を感じることもあるだろうが、心赴くままに突っ走れ。何事にも完璧な人間なんぞはいやしない。マジックキングダムが常に未完成を公言するように、東照宮が柱を逆さにしてまで未完成を示すように、完成は崩落の始まりでしかない。完成は目指されてこそ意味があり、達成された完成などに大した価値はない。森昌子心のままに…。
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1、「少しは私に愛を下さい」
歌:森昌子「ビッグショー」1977年
 「ビッグショー」での歌唱である。これは彼女にとっては重大な一点となった「花の高三トリオ解散コンサート」のほぼ3ヶ月後の収録である。「私にはあなたの心が分ります」と、インチキ占い師の常套句を借りてでも言ってあげたいものである。
http://www.youtube.com/watch?v=CQLUmFiSyUo
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2、「なみだの桟橋」
歌:森昌子「紅白」1977年
 いつかは歌わねばならぬ演歌であるが、驚天動地である。ほぼ悪い意味で私は唸る。何もそんなに力まなくても…。何を思ったか、司会の相良直美の声も震えて聞こえる。しかし今は生みの苦しみの最中、これもまた良しとしよう。待つこともまた必要だろう。
http://www.youtube.com/watch?v=OyxSOjiO8c0
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3、「生きて下さい愛して下さい」
歌:森昌子「帝劇7周年記念」1978年 (LP「熱唱ひとり舞台」)
 天才少女の苦悩の末の叫びだろう。衝撃が走る。できるならカルフォルニアの青い空の下に置いおいておきたいとも思うが、それは許されまい。美しい翅を得た蝶は新たな世界を目指して飛び立たねばならぬ運命にあるのだから…。そこで秋津は彼女を待っている。
http://www.youtube.com/watch?v=7C4Vk2OaupI