蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

Edesu101、那美さん

E26をリメイク


 『草枕』(夏目漱石)の那古井の嬢様である。画工は雨宿りした茶店で那美の嫁入りの様子を耳にする。
 「不思議な事には衣装も髪も馬も桜もはっきりと眼に映じたが、花嫁の顔だけは、どうしても思ひつけなかった。しばらくあの顔か、この顔か、と思案して居るうちに、ミレーのかいた、オフェリヤの面影が忽然と出て来て、高島田の下へすぽりとはまった」(『草枕』)


ミレイ「オフィーリア」1851〜52年(テートギャラリー・ロンドン)

芸術新潮 2013年6月号


 草枕、オフィーリアとくれば、次に忘れな草を挙げねばなるまい。絵の左側、一番手前に描かれているのは忘れな草のようだ。
 「忘れな草は初夏に紺碧色の花を咲かせるムラサキ科の1,2年草で、川辺や湿地によく見られる、目立たないが可憐さを象徴するような花である。そのためか残された逸話は悲哀に満ちたものが多く、その青は悲しげでもある。そのひとつが、気の狂ったオフィーリアが、忘れないでと言ってハムレットに渡したというものであり、そしてドイツに残るのは、珍しい青い花を少女のために取ろうとした若者が足を滑らして川に落ち、その時に残した言葉が、僕を忘れないでだったというものである。

 可憐な花が同時に悲哀をも併せ持つという乙女チックな状況をこの青に感じるのは、これらの逸話によるところが大きいのかもしれない」(「私が選ぶ3曲21 時代の歌謡曲」から)


 森昌子忘れな草をあなたに」
 http://youtu.be/hhNSvsYfymE
 

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参考(旧記事)
Edesu26、神の知らぬ情
私が選ぶ3曲「21、森昌子 時代の歌謡曲」