時代29、森昌子と劇場(6)
7、大阪新歌舞伎座(旧)
1976年「5周年記念特別公演」
1977年「特別公演」
旧 ・大阪新歌舞伎座
- 所在地: 大阪市中央区難波4−3−25
- 開 館: 1958年10月31日
- 閉 館: 2009年6月30日
- 客 席: 1638席(オープン時は1835席)
- 用 途: 演劇
- 設 計: 村野藤吾
- 運 営: 株式会社新歌舞伎座
現 ・大阪新歌舞伎座
大阪新歌舞伎座は、1932年開業の大阪歌舞伎座の後継劇場として御堂筋西側の「なんば大映」跡地に建設された。建物は地下3階、地上8階建て、客席は三層で「観光劇場」と銘打ち、桃山風の人目を引くデザインだった。尚、現在は上本町の近鉄劇場跡地に建てられた再開発ビル「上本町YUFURA(ユフラ)」内に移転している。
歌舞伎の名称がありながら歌舞伎を主体にしなかった劇場で、これには創設当時の事情が関係しているといわれる。これに代わり、人気ある映画スターや歌手を中心に据えた「座長芝居」「歌手芝居」を月替わりで公演する方式で大成功を収めた。これに東京、大阪、名古屋のほとんどの商業劇場が追随し、経営者松尾國三は、商業劇場の興行形態における創始者的存在ともいわれる。
森昌子はここで二度公演を行っている。一度目が76年の5周年記念であり、二度目が翌年の特別講演である。二度目の時は3月に高校を卒業した年で、なにかと忙しい年のことだったと思われる。アメリカ西海岸に滞在したのは春との話もあるが、『明日へ』によって年月を追うと、この二度目の新歌舞伎座での公演を終えた直後の頃となる。そうであれば、慌ただしく飛び立ったのではなかろうか。これ以降、年末の紅白まで目立った軌跡がなく、いかにもそれらしくはあるのだが。
そして、その紅白で歌うのが「なみだの桟橋」だった。これならその歌唱も納得がいくのである。しかし時期はどうでもいい。こだわる気はない。混乱であれ、混沌であれ、若き乙女の希望や不安の入り混じった時期のことなのだから。
しかし、新歌舞伎座公演となるとこれらの経緯もあり、76年よりもこの77年が気になる。77年の略歴と、その年に発売されたシングルとアルバムを参考までに記します。シングル4枚、アルバム5枚と、この年の発売枚数は相当に多い。際立つフォルムと圧倒的な存在感を見せつけた新歌舞伎座、その新歌舞伎座でのライブ盤「涙の熱唱」はその収録曲も記すことにします。
1977年の略歴
1977.1.15 新春特別公演(浅草国際劇場)(15〜21)
1977.3.1 堀越学園卒業式
1977.3.27 高三トリオ解散コンサート(武道館)
1977.3.31 三人娘涙の卒業式(NTV木曜スペシャル)
1977.6.27 ビッグショー(収録)
1977.7.31 ビッグショー(放送)
1977.8.27 新歌舞伎座公演(27・28の2日間)
1977.12.31 紅白「なみだの桟橋」
1977年のシングル
1月 「小雨の下宿屋」
5月 「港のまつり」
8月 「なみだの桟橋」
12月 「春の岬」
1977年のアルバム
1月 「森昌子傑作民謡第二集」
3月 「新春特別公演森昌子ショー“演歌に涙と青春を”」(浅草国際)
5月 「出発の詩集 港のまつり」
7月 「森昌子十八歳の演歌 南国土佐を後にして/長崎物語」
11月 「新歌舞伎座特別公演 涙の熱唱」
新歌舞伎座特別公演「涙の熱唱」収録曲
- 1. 「オープニング」
- 2. 「あの人の船行っちゃった」 作詞:山口あかり 作曲:遠藤実
- 3. 「下町の青い空」 作詞:横井弘 作曲:遠藤実
- 4. 「面影の君」 作詞:阿久悠 作曲:平尾昌晃
- 5. 「あなたを待って三年三月」 作詞:阿久悠 作曲:新井利昌
- 6. 「おかあさん」 作詞:神坂薫 作曲:遠藤実
- 7. 「おばさん」 作詞:浜口庫之助 作曲:浜口庫之助
- 8. 「夕笛の丘」 作詞:山口あかり 作曲:新井利昌
- 9. 「宵待草」 作詞:竹久夢二 作曲:多忠亮
- 10.「カチューシャの唄」 作詞:島村抱月 作曲:中山晋平
- 11.「ゴンドラの唄」 作詞:吉井勇 作曲:中山晋平
- 12.「篭の鳥」 作詞:千野かほる 作曲:鳥取春陽
- 13.「城ケ島の雨」 作詞:北原白秋 作曲:染田貞
- 14.「波浮の港」 作詞:野口雨情 作曲:中山晋平
- 15.「出船」 作詞:勝田香月 作曲:杉山長谷夫
- 16.「船頭小唄」 作詞:野口雨情 作曲:中山晋平
- 17.「そうるお国めぐり」
- 18.「小雨の下宿屋」 作詞:山口あかり 作曲:高田弘
- 19.「港のまつり」 作詞:わたなべ研一 作曲:沖田宗丸
- 20.「なみだの桟橋」 作詞:杉紀彦 作曲:市川昭介
- 21.「この胸の幸せを」 作詞:杉紀彦 作曲:佐々木勉
森昌子の卒業した堀越には芸能人コースがあったはずで、今もあるのかもしれませんが、多くの芸能人が通っていたと思います。池上季実子も同級生だったそうですが、同じ歌手仲間ということでこの御三方です。(曲はそれぞれ77年のものです)
森昌子「小雨の下宿屋」
http://youtu.be/3v4R9oCpIHQ
岩崎宏美「思秋期」
http://youtu.be/1CI7jODtZe8
岡田奈々「そよ風と私」
http://youtu.be/fwnht6o8-7c