蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

手紙17 残念ながら


「乱穂先生の手紙」(「沈黙」)
 モデル君、お手紙拝読いたしました。カルフォルニアはあなたに合っていたようで、元気な様子が見てとれます。
 秋葉君のことですが、行く前に彼から話がありましたから、大方のことは知っております。無事解決されたようで、小生も一安心というところです。
 さて、お尋ねの件ですが、残念ながらお答えするわけには参りません。ただ、このことだけは伝えておきます。あの作品は秋葉君の要望が入っていて、最初とは内容が違うのです。ですから秋葉君が話さない限り、私の口から申し上げるわけにはいかないのです。いずれ彼の口から語られる時があるかと思いますが、その日まで待ってやってください。実を言うと、あなたにも少し関係があるらしいのです。ただ、それは秋葉君の一方的な想いですから、あなたは知る由もないことなのですが。
 全国ツアーですか。私も目立たないよう秋葉君を誘って出かけてみますか。絵も考えておきます。素人ですからいい加減なものですが、あなたの気分転換になるのでしたら、また、ご一緒しましょう。それでは、元気にお戻りなさい。
乱穂
モデル殿

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 4月1日に手紙を書くとはさすがに乱穂先生。そういえば「恐ろしき四月馬鹿」は江戸川乱歩だったか、とふと思ったが、これは横溝正史のデビュー作だった。