蜂太郎日記

森昌子を聴きながら・・・

手紙4 悲しみの町(2)

「大田原達彦の手紙」

前略 お元気ですか。僕は今東京にいます。急に呼び戻されて上司の面談を受け、直ぐまた戻らなければなりません。届いていた母の手紙に、「叔父に連絡して下さい」とありましたので連絡して、叔父が貴女に電話したことを聞きました。僕は忙しいですが元気です、心配ありません。外務省は野暮用が多いし、特に僕のような独り者はあっちこっちへ行かされるし、落ち着く暇もなく、つい今日になってしまいました。
 暑くなる前に、もう一度日本に戻る日があります。その時はもう少し長くいられそうです。その時、貴女の好きなほおずき市に行きましょう。ほおずき市に間に合わなかったら、大国魂の縁日にしましょう。大国魂は舞台がありますか。あるなら観に行きますので教えてください。どこにするかも決めておいて下さい。どこへでも付き合います。


 ところでレコードの方はどうですか。売れてますか。僕も何枚か買って友達に送ったのですが、「さよならの町」は評判良かったですよ。僕も時々聴いてます。外国にいると無性に貴女の歌を聴きたくなることがあります。アラブでワーグナーを聴く気にはなれないのです。それで、カセットに入れて持って歩いています。
 明日、早々に飛行機に乗らなくてはなりませんが、今度戻ってきたら必ず連絡します。それまでに場所決めておいて下さい。逢える日を楽しみにしています。 草々
1976年
達彦
つぐみ様